「ブラックボックス」、それは、何らかの結果は出てくるが、そこに至るまでの内部構造、プロセスがわからなくなっているものを言いますが、経営においてブラックボックスになっているものはありませんか?
企業経営は、「人」「物」「金」「情報」の要素で成り立っていますが、これからの経営はこの 4 つの要素の流れが見易く、分かり易くなっていることが重要となってきます。それゆえ、その 4 つの要素の中に、ブラックボックス化したものがあれば、すぐにそれを見つけ出し、その構造、プロセスをオープン化していく必要があります。
まず、考えられるのが、意思決定プロセスのブラックボックス化です。どこで、どのような意思決定がなされているかがわからないまま、業務を遂行すれば、それが後々問題となった場合、責任関係が不明瞭となり、しいては、会社としての信用を失うことにもなりかねません。そこで、各業務における権限責任関係を明確にし、それを終始徹底させるために、職務権限規程を整備し、それに基づいて業務を適正に遂行していくことが必要です。また、経営者が率先して、従業員(メンバー)がオープンに議論できる場を設け、意思決定のプロセスが情報として共有できるような仕組みを作り上げることも重要です。それにより、経営における透明性が高まり、従業員の業務に対する意識を高め、不正の防止へと繋がっていきます。
次に考えられるのが、システムのブラックボックス化です。システムとは経営情報をいかに処理するかという仕組みですが、それが、一部の専門家任せの状態になっていませんか?
自社でシステム構築をしている場合、システム部員に任せっ切りにした状態で、その担当者が辞めたり、他部門へ移動したりすると、システム上の重大なトラブルが発生したような時、その回復には時間を要しますし、経営活動に大きな支障をきたします。システムをアウトソージングしている場合でも、システムのどの部分をアウトソージングしているかを把握していなければ、同じような問題になります。会社の業務システムは経営の根幹をなす仕組みです。それゆえ、システム担当部署の管理者のみならず、他部門の管理者も業務フローを標準化し、マニュアル化し、どこをシステム化しているかについて理解し、情報を共有化する必要があります。
上場会社においては、「内部統制」の整備・運用が法律上義務付けられます。中小企業の経営においても、業務の流れを見直し、経営の透明性を高め、不正の防止に寄与し、経営を適正に導いていくことを目的とする「内部統制」の整備・運用のエッセンスを取り入れ、「人」「物」「金」「情報」の流れが分かる経営を心掛けることが重要になってきます。